SAKURA

京で出会った日本の桜

 

書籍 SAKURA 京で出会った日本の桜ボタニカルアート

(青い薔薇社から2023年発行予定)

 

 京都で生まれ育ち、本当に沢山の桜に見守られながら生きてきました。淡いピンク色に染まる日本の春は、幸せな空気に包まれているイメージが湧いてきます。しかしながら、都市化が進む市街地から桜の姿は消えていき、他の植物と同様に今の桜の姿を見つめ残すことは、未来へつないでいくために私に出来る唯一の事だと考え桜をスケッチしています。

 

大原野神社 千眼桜

 

 秋から春にかけて咲く十月桜のように花期の長い種類を除くと、京都では2月下旬から4月下旬ころまで様々な種類の桜に出会う事が出来ます。バラ科の植物である桜の寿命は樹木のため長くはありますが、薔薇の花と同様に人の支えによる維持管理が必要です。スケッチをしながら桜を巡ると、やはり京都においても桜の古木化は進み、平成30年の台風による倒木被害も深刻でした。

 

出町柳の分岐点から望む加茂川

 

 今回ご紹介する京の桜名所は、私にとって思い出深い場所ばかりです。喜怒哀楽すべての感情がそこに在り、どんな思いの年も、春を忘れずに満開の花開く桜に、勇気をもらって生きてこられました。そんな桜への恩返しとして、私の見つめた桜の現状と、京都で出会った桜をボタニカルアートに描いて、書籍にまとめてお伝えします。

 

鞍馬寺

珍しい虎の狛犬が本殿をお守りされていて、ご本尊は尊天といい、毘沙門天王、千手観世音菩薩、護法魔王尊の、太陽と月と大地を司る三身一体からなります。

由岐神社

日本の国造りの神様として有名な、出雲大社のご祭神大国主命と、国造りに協力した少彦名命をお祀りされています。鞍馬山の桜は『雲珠桜』と呼ばれます。

貴船神社

鴨川の水源地にあたり、本宮では水の供給を司る神様を結社では縁結びの神様をお祀りされ、奥宮境内の地下には巨大な龍穴があると伝えられています。


京都府立植物園

日本で初めて作られた歴史ある植物園には約200種類500本の桜に出会うことが出来る桜林があり、貴重な桜を大切に未来へつなぐ生きた植物の博物館です。

半木の道

京都府立植物園西側の加茂川堤防の約800m続く、八重紅枝垂桜並木の散歩道です。植物園内には同名の半木神社があります。

平野神社

桜の名所として有名な神社では、約60種類400本の桜があり、早咲きの『魁桜』や『楊貴妃』『普賢象』など、個性豊かな桜と出会えます。


嵐山 渡月橋

嵐山の春は、渡月橋から望む山々を彩る桜色や、釈迦をお祀りされている天龍寺、芸能の神様で桜餅の発祥地とされる車折神社などの、桜の名所があります。

天龍寺

嵐山 天龍寺 法堂天井画 『雲龍図』

どの位置に立っても、八方から白龍に睨まれているように見えます。(画像 法堂案内板写真より)

車折神社

嵐山 車折神社 桜餅発祥 琴きき茶屋

桜の葉を上下に2枚重ねた、餡の入らない優しい甘さの桜餅です。(現在は、渡月橋西詰に店舗あり)


宝が池公園

地下鉄国際会館駅を降りて直結する、京都国立国際会議場の周辺は、人口で作られた宝が池を中心とした、春の桜も美しい緑あふれる憩いの場所です。

上賀茂神社

『御所桜』『斎王桜』など、見事な枝垂れ桜の名木に出会えます。龍の住む泉の底から見つかり、陰陽が合わさったとされる『願い石』もあります。

加茂川

出町柳を分岐点として東西に分かれる鴨川の西の上流にあたる河川沿いは上賀茂神社に続く参道のように、川沿いの遊歩道に桜並木が続きます。


下鴨神社

葵祭で有名な世界文化遺産の神社参道『糺の森』にも桜も見られます。上賀茂神社と同じく御神紋の『あおい』は神と人を結ぶ草として伝えられています。

鴨川

京都市の中心を縦断する鴨川は、春は桜、冬はゆりかもめといった渡り鳥たちにも出会う事が出来る自然豊かな場所です。出町柳分岐より下流の名称です。

河合神社

下賀茂神社の参道糺の森の入り口辺りにある、女性の幸せを願う神様です。女性を幸せにする出町ふたばの豆餅は、ここからほど近い出町商店街が本店です。


京都御所

広い敷地内には、至る所に桜が見られます。『出水桜』と呼ばれる枝垂れ桜は特に有名です。桜以外にも四季折々、沢山の植物に出会えます。

白雲神社

京都御所内にあり、弁財天をお祀りされています。境内の『薬師石』は、尊い磐座で体の不調を治癒すると伝えられています。弁天様は琵琶を持たれています。

高野川

出町柳を分岐点として東側の川に辺り、八瀬大原が源流と伝えられ、南は淀川から大阪湾へ続く一級河川です。染井吉野の並木道が本当に美しい河川敷です。


平安神宮

広い敷地に見事な右近の桜と左近の橘が見られる本殿や、紅枝垂桜で有名なお庭には、野草コレクションも充実していて、神と人を繋ぐ二葉葵もありました。

岡崎公園

美術館や動物園、コンサートホール等自然豊かな環境に文化が溶け込む美しい地域です。京都を巡っていて川や水が暮らしのすぐそばにあると感じました。

南禅寺

1888年に完成した琵琶湖疎水をつなぐ『水路閣』は現在も使われています。境内に響く水音は美しく、本殿天井には仏教を守るとされる金龍の絵があります。


蹴上

明治から昭和にかけて、琵琶湖疎水による船運ルートで物資を京に運ぶのに使われた『インクライン』跡の美しい桜並木道で、線路の上を歩くことが出来ます。

知恩院

知恩院の開祖 法然は、本願寺の開祖 親鸞の師であり、この世を浄土として人の幸せを生きる為に『南無阿弥陀仏』という念仏の教えを広められました。

円山公園

桜守の佐野藤右衛門氏によって管理される有名な『祇園枝垂桜』は人々を魅了します。この桜の種子は宇宙に運ばれた『宇宙桜』としても知られています。


八坂神社

東山四条、大晦日の晩のおけら詣りで親しまれる通称『八坂さん』。古くから青龍が住む『龍穴』になっていて、京の都を守ったと伝わります。

祇園白川

京都らしい風情漂う祇園を流れる白川沿いは、桜がとても似合います。私が訪れた日は、良い日取りだったようで沢山の和装の花嫁さんに出会えました。

二条城

世界遺産の元離宮二条城は、日本の歴史の移り変わりを見守ってきたお城で、1867年に大政奉還が行われた場所です。桜は『御所御車返し』


勝持寺

比叡山延暦寺の開祖最澄が作られたとされる『薬師如来像』をご本尊とする古刹です。桜と月を愛した西行法師が植えられた『西行桜』で知られます。

大原野神社

長岡京遷都の際に都の発展を願って建立された神社です。主祭神は奈良の春日大社から勧請されました。満開が3日間という幻の桜『千眼桜』は有名です。

六角堂

『六角さん』という愛称で親しまれる、聖徳太子を開基として創建されたと伝えられています。早咲きの『御幸桜』が有名で、へそ石には花弁が降っています。


東本願寺

親鸞聖人を開祖としたお寺で『お東さん』の愛称で今日の人々に親しまれます。『お西さん』の愛称は西本願寺。ご本尊は阿弥陀如来様です。

梅小路公園

京都駅に近く緑豊かで広々とした公園内には『鉄道博物館』や『京都水族館』などがあります。手前の桜は桜守 佐野藤右衛門氏の名が付けられた『佐野桜』

東寺

平安京造営の時に弘法大師によって創建されました。当時は西寺もありましたが現存していません。弘法大師の不二の教えより命名の『不二桜』が有名です。


長源寺

京都市左京区にある長源寺の近くにある、のどかな川沿いの桜並木は子どもの頃から心に残っています。薬師如来像と比叡山との縁もわかって驚きました。

毘沙門堂

樹齢100年以上の枝垂れ桜と、比叡山延暦寺 根本中堂の伝教大師作の秘仏と、同木で伝教大師が刻まれたと伝えられる『毘沙門天』がお祀りされています。

最澄と天台宗のすべて展

京都国立博物館にて伝教大師最澄1200年代遠忌記念として開催された特別展。日本仏教に大きな影響を与えた、伝教大師と比叡山の歴史を伝えていました。


本願寺水道

過去4度の火災から東本願寺を守るために、蹴上から京の街中を潜り抜け、東本願寺まで引かれた琵琶湖疎水。人の熱意に圧倒される偉業です。


 

平野神社の桜茶と出町ふたばの豆餅と桜餅

     

 書籍『SAKURA 京で出会った日本の桜ボタニカルアート』では、桜の種類やボタニカルアートだけではなく、興味深い桜と人を繋ぐ文化や和歌もお伝えします。思い返すと、桜並木の美しい鴨川沿いの高校に通い、関西版の桜餅の発祥となる車折神社の境内を抜けて大学に通い、平安神宮や南禅寺近くの職場で働いて、お仕事の帰りに祇園枝垂桜を見ていたことはすべて必然だったようです。

 

 

京都御所 紅枝垂桜

 

 京都の桜の本製作を通して今を知ること、未来へつないでいく事だけでなく、過去を振りかえる懐かしい機会になりました。そして数ある京都の名所の中から、今回私が桜に導かれて歩んだ地は、古より水に縁ある龍脈を結ぶとわかりました。桜と龍、日本を支える二つの象徴が故郷の京都でつながった事は、私にとって大きな宝物の発見となりました。

 

 今回お伝えした以外に巡った京都に縁のある比叡山延暦寺と、平安京の鬼門を守る滋賀県大津市の日吉大社については、以前に製作した書籍 大津京の桜 咲麗を辿って歴史と文化に出会う街 にてお伝えしています。

 

京の桜巡り完了時にJR円町駅で出会った虹龍 

(2022年4月12日 京都新聞朝刊より)

 

 今回巡った京都の桜の名所は、水が豊かだったことと共に比叡山との縁もあることがわかりました。上部に掲載しました京都新聞『虹』の記事の下部には、2021年から続く最澄没後1200年目の大遠忌を記念した特別展『最澄と天台宗のすべて』が、新聞掲載日から京都国立博物館にて開催されるという内容の記事があり、私へのきづきを記事にまとめましたのでよろしければご覧ください。

 

西行桜と一緒に

 

 人の幸せを純粋に見守っている桜が

 

いつまでも日本の春を祝う事を願っています

 

 

祇園白川

 

水音が響き桜の花びら舞う京にて

 

2022年4月9日

kuni